札幌市圏における鉄道相互乗入れに関する検討(その3)

3.相互乗入れ

人や物は,電気と同じようになるべく抵抗の少ないルートを選んで移動しようとするため,交通の流れは電気の流れに似ていると言われます。その抵抗は,T(時間),A(アメニティ),C(コスト)に対するもので,時間がかかり過ぎるという時間的抵抗、コストがかかり過ぎるという経済的抵抗,乗車中の不快感の抵抗です。これらが集積してその交通機関の心理的・経済的な抵抗を形成しています。
鉄道やバスには,図5に示すように,自家用車と異なり,「乗車中の抵抗ROの前後に「アクセスの抵抗RAと「リーブの抵抗RL」あり,交通量は,交通量I=移動要求のポテンシャルV÷交通抵抗Rで示されます。
移動欲求のポテンシャルVが高ければ高いほど交通量は増え,その交通機関の採算性は向上しますが、交通抵抗によって制約を受けます。この交通抵抗の中のアクセスの抵抗RAとリーブの抵抗RLの中には,乗り継ぎの抵抗も含まれます

鉄道と鉄道,バス等の公共交通機関同士が接続している場合,乗り継ぎに時間が掛かったり,階段等で移動が大変だったり,雨風の影響を受けたりすると,乗り換えの抵抗感が多くなり,他の交通機関を使用したり,最初から公共交通機関を使用しないことに繋がります。従って,公共交通機関同士の乗り継ぎの抵抗を少なくすることが,相互乗り入れの目的で,これが,公共交通機関の交通量の増加に繋がると考えられます。
相互乗り入れには,
・乗り換えがなくなるため,時間の短縮化等の利用者の利便性が向上する。
・利便性の向上により,利用者増加の誘発効果が期待される。
・利用者増加により,自家用車の利用率が低下し,都市内交通が緩和され,CO2の削減に繋がる。
・相互直通により,ターミナルでの乗り換え客が削減し,混雑が緩和される。
等の効果がありますが,施設の投資が必要で,軌道の軌間の整合性,車電施設や電圧等の電気関係の整合性等も考慮する必要があります。

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