札幌市圏における鉄道相互乗入れに関する検討(その5-2)

Ⅱの方式(車輪のゲージを可変)
①タルゴ
車輪のゲージを可変する例として,スペインとフランスを結ぶ「タルゴ」が良く知られています。タルゴは,車輪が一軸独立であるという特徴を持ちます。左右の車輪をつなぐ車軸が存在せず,車輪の間に通路などを設けるための空間が確保できるため,車高が非常に低くなっています。
スペイン国鉄は,広軌(1668mm)を採用しており,曲線区間で内側と外側のレール長の差が狭軌や標準軌のそれと比べて大きく,さらに,山岳路線が多いため曲線区間が多く曲線半径も小さくなっています。このため,左右の車輪が同じ速度で回転する通常の台車では曲線通過時に車輪とレールの摩擦が大きくなり車輪が磨耗しやすいため,その対策として,左右独立車輪を採用し,車輪磨耗の軽減と低重心化による曲線通過速度向上を図ったもので,「軌間可変」機構の装備を目的として開発されたわけではありません。車輪の左右間隔を変換するのは動力装置のない客車のみで,機関車は付け替えることになります。タルゴ方式の問題点として,ゲージ可変時には軌間可変装置(図11)を列車が低速で走行する必要があるため時間がかかる,機関車のつけかえが必要,台車が高価,輸軸の信頼性に不安が残る等があります。

②軌間可変電車
軌間可変電車(フリーゲージトレイン)(図12)とは,新幹線(標準軌1,435mm)と在来線(狭軌1,076mm)を直通運転できるよう車輪の左右間隔を軌間変換装置(図13)の通過により変換する電車であり,タルゴ方式と大きく異なるところは,動力装置のついた車両の車輪幅を変換するところにあります。参考:http://www.jrtt.go.jp/02Business/Construction/const-fgauge.html
1998年に3両編成の第1次試験車両を完成させた後,米国コロラド州のプエブロ試験線,国内在来線,山陽新幹線,在来線(日豊線),九州新幹線(鹿児島ルート)での走行試験を行っています。しかし,九州新幹線(長崎ルート),北陸新幹線(敦賀延伸)に導入する予定でしたが,現在のところ,技術的な問題が解決していないため,困難な状況にあります。

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