Ⅲの方式(3線・4線軌道)
この方式は,箱根登山鉄道と小田急の相互乗入区間である小田原~箱根湯本間で取り入れられていますが,長い線路の全線にわたっての線路設備の変更が必要で設備投資が大きくなり,分岐器の構造が複雑になる等の問題があります。 なお,北海道新幹線の青函トンネルでは,図16に示すように,新幹線と在来線の貨物を供用するために,3線レール方式としています。
Ⅳの方式(対面乗換)
対面乗り換えとは,図17に示すように,鉄道の乗り換えの形態の一つで、島式ホームの両側に止まった列車相互で乗り換えるもので,厳密には,相互乗り入れによる直通運転ではありませんが,同一ホームで乗り換えることにより,乗り換え時間の短縮と乗り換えの負担軽減を図る方式です。同一ホームでの乗り換えは,平面乗り換えと呼ばれることもありますが,必ずしも島式ホームの対面ではなく,切欠きホームのように離れた場所に停車した列車との乗り換えを指すこともあります。
対面乗り換えでは,乗り換えの移動距離が最小になり,ホーム間の移動の上下移動が不要で,乗り換えに要する時間が短くなります。従って,旅客の乗り換えに対する抵抗感が小さくなる利点があり,上下移動がないためバリアフリーの観点からも推奨されています。
しかし,対面乗り換えを実現するためには駅の構造やダイヤを工夫しなければならず,建設費や用地が余分に必要になり,全ての乗り換えの組み合わせに対して対面乗り換えができるわけではない等の欠点があります。
JR北海道の南千歳駅は,逆方向に進む列車相互の対面乗り換えができるようになっています。図18に示すように,通常左側通行の列車を快速エアポートに限っては右側通行にすることにより,新千歳空港発の快速エアポート(図18の赤の列車)から札幌発函館・室蘭・帯広方面行きの特急(図18の赤枠白抜き)へ,またその逆向きの対面乗り換えを可能にしています。これにより,直通列車のない新千歳空港と道南・道東の連絡をスムーズにしています。なお,このために駅の札幌側で平面交差が生じており,ダイヤ編成の上での制約となっています。
列車の終点となる駅において,さらに先に進む列車を対面に停車させて対面乗り換えを行うことがあります。これにより軌間や電化方式の違いにより直通運転ができない場合でも,乗り継ぎを容易にし,2本の列車をあたかも1本の列車であるかのように扱うことが可能になります。この典型的な例が九州新幹線・鹿児島本線の新八代駅でした(図19)。九州新幹線全線開業(2011年3月12日)以前は,新幹線ホームの対面に鹿児島本線の特急「リレーつばめ」を停車させ,新幹線「つばめ」と対面乗り換えで乗り継げるようになっていました。